日本国内の全企業のうち99.7%は中小企業。
テレビのニュースや日本経済新聞では、大企業や今を時めくベンチャー企業の情報が多いものの、それらは全企業の氷山の一角どころか、ごく一部の情報。
日本国内の企業の大多数は中小企業で成り立っています。
当然ながら、中小企業は知名度やブランド力において、大企業や有名企業に及びません。そこで、中小企業が製造、販売、提供している商品やサービスのマーケティング活動のためには、ホームページが必須のツール。
ところが、中小企業が業者にWebサイト制作を依頼したり、社内の担当者がWordPressでWebを制作したものの、あまり反応が得られないケースが多い傾向があります。
これには複数の原因があります。
そこで、20年以上に亘り、WebマーケティングとSEOに関わってきた管理人がホームページのアクセスとSEOについて呟いてみたいと思います。
※「ホームページ」と「Webサイト」は同じ意味ながら、ホームページは和製英語のため、以下、「Webサイト」で統一します。
Contents
多くの企業のWebサイトは会社案内パンフレット
企業が自社のWebサイトを立ち上げるにあたり、Webサイトを構成する各ページは業種にもよるものの、概ね次のような内容です。
・Topページ
・商品情報(サービス内容)
・実績
・設備(製造業やサービス業の場合)
・会社概要+アクセスMap
・会社沿革
・代表挨拶
・スタッフ紹介
・選ばれる理由(←これは好ましくない)
・Q & A
・ブログ
・YouTube
・お問い合わせ
・プライバシーポリシー
・リクルート
・サイトマップ
・Facebookへリンク
・Instagramへリンク
・Twitterへリンク
Webデザインは企業によって千差万別ながら、中小企業の自社Webのページ数は概ね10~30ページほど。
第三者の信用調査や転職活動中の方にとって、上記のようなホームページを一通り閲覧すれば、会社のイメージが少しは伝わってくることでしょう。
しかし、上記のようなWebサイト内容で日々、大量のアクセスが発生しているWebサイトは極めて少数派です。
そもそも、会社案内のパンフレット的なWebサイトで多くのトラフィックを確保するのは難しいのです。
中小企業のWebサイトのアクセス数
新規でドメインを取得し、自社Webを立ち上げても、最初の約半年間はアクセスが非常に少なくて普通。ブログも同様。
Webの立ち上げから1年経過しても、Google Analyticsが表示するアクセス数が伸び悩んでいる自社Webが多いと思います。
中小企業の自社Webの場合、1日あたりのアクセス数が2桁台で推移しているケースが大多数です。
1日あたりのPV | 月間PV |
10 | 300 |
30 | 900 |
50 | 1,500 |
もし、中小企業のWebサイトのPVが毎日100~200以上で推移しているならば、社内のWeb担当者が上手にWebを運営、管理していると言えます。
あるいは、制作を依頼したWeb業者との綿密な打ち合わせにより、アクセスが伸びているケースもあるでしょう。
もちろん、Webマーケティングに力を入れている中小企業であれば、更なるアクセス数を確保しています。
ブログのPV
ちなみに、ブロガーが運営しているブログの世界もピンキリながら、毎日500前後のPVが発生している人気ブログが存在しています。ネット界では、日々500PVがあるブログは大手ブログに入ると考えられています。
余裕で500PVを超えて、日々1,000PVもあるようなブログは極めて少数派ながら、それは、超が付く大手ブログに入ります。
中小企業のWebサイトのアクセスが少ない原因
物事の結果には、必ず原因があります。原因と結果で1セット。
アクセスが少ないWebサイトは、必ずWebのどこかに原因があります。
では、WordPressに代表されるCMSでWebを運営している場合、Webページ公開後の大雑把な流れから原因を考えてみます。
(1)Webページを作成して公開。
(2)Googleクローラーがサーバー内をクローリングしながら、新しいWebページをキャッシュしてインデックス化。
(3)ネットユーザーの検索ニーズと意図にマッチするWebページほど、Googleで上位表示されていく。
逆に、検索ニーズと意図にマッチしないwebページはGoogleから評価されず、上位表示されない。
もちろん、[会社名や店名+住所]で検索すると、中小企業のWebサイトもGoogleで上位表示されます。
しかし、自社が扱っている商品名やサービス内容で検索すると、上位表示されない傾向があります。
そこで、ネットユーザーは医療機関や介護、ドラッグストア、スーパーマーケット、飲食店、美容院、クリーニング店のような地域密着型ビジネスを調べる時、検索キーワードに「住所」をプラスして検索しています。
Googleアルゴリズム
GoogleのアルゴリズムはWebサイトのテキスト情報とHタグ、JPG, GIF, PNGファイルをインデックスし、各Webページを序列化しています。
Googleアルゴリズムは年に数回、コアアップデートされています。細かなチューニングを含めると、アルゴリズムは毎日のようにアップデートされていると言われています。
一言で言うと、Googleアルゴリズムに合致しないWebページは評価されず、Googleで上位表示されません。
会社案内のパンフレット的なWebサイトは情報量が少ないため、検索ニーズと意図をあまり満たしていないのです。よって、そのようなWebサイトはGoogleから評価されず、上位表示されないためアクセスが少ないのです。
企業がSNSを使う理由
SNSで情報発信する企業が増加しました。中でもTwitterは拡散力があるため、フォロワーが多いと効果的。
SNSが使われている背景として、以下が挙げられます。
・トレンド
・無料のコミュニケーションツール
・幅広いSNSユーザーに情報発信が可能
豊富な経営資源をSNSに投入できる企業や有名どころのインフルエンサーは多くのフォロワーを獲得し、強い影響力を持っています。
これほどまでに知名度が高く、利用者が多いSNSながら、中小企業がSNSに力を入れても、実のところ、効果が微妙なケースが多いのです。
これは、Google Analyticsで分析すれば判明します。
Google Analytics
その証拠として、Google AnalyticsのTopページから[集客]>[すべてのトラフィック]>[チャンネル]画面を確認すると、以下のデータが表示されます。
念のため、各データの意味を書き留めておきます。
Organic Search
Organic Search(オーガニックサーチ)とは、Google, Yahoo, Bing等の検索エンジン経由で発生したアクセスを意味します。一般的な割合として、80~90%以上。
Direct
Direct(ダイレクト)とは、以下を意味します。ドメイン年齢が長く、アクセスが多いWebサイトはDirectの割合が多くなります。一般的な割合として、10%以下。
・ブラウザーにURLをタイプして発生したアクセス
・ブラウザーのブックマークから発生したアクセス
・メール内のURLをクリックして発生したアクセス
・QRコードを読み取って発生したアクセス
・その他
Referral
Referral(リファラー)とは、他のWebページのリンクから流入してきたアクセスを意味します。一般的な割合として、5%以下。
Paid Search
Paid Search(ペイドサーチ)とは、Google広告を出稿した場合の広告クリック数を意味します。Google広告を出稿したことが無ければ、Paid Searchは表示されません。
Social
Social(ソーシャル)とは、ソーシャルメディア(SNS)から流入してきたアクセスを意味します。一般的な割合として、5%以下。
Other
Other(その他)とは、上記に分類されないアクセスを意味します。
各流入元の割合
上記の各流入元の割合はWebサイトによって異なるため、一概には言えない側面はあります。ただ、確実に言えることは、Webサイトの全アクセスの中で検索エンジン経由である「Organic Search」の割合が一番多いのです。
(※ランディングページを作り、ネット広告で集客している場合は別。)
そして、中小企業がSNSに力を入れても、上記Socialの割合はそれほど大きく変化しない傾向があります。(バズった場合は別。)どちらかというと、SNSは瞬発力のあるメディア。
やはり日々、安定したトラフィックを確保するためには、Webの「SEO対策」がとても重要な意味を持ちます。SEOが上手くいくと、Webサイトが24時間365日、自動でアクセスを生み、マーケティングがアクティブ化します。
そして、更なるアクセスアップ対策として、Google広告やFacebook & Instagram広告、Yahoo!リスティング広告を活用すればいいのです。
ネット広告の実務者であればご存知のとおり、これらの有料広告を利用すると、明らかなアクセスアップをもたらしてくれます。広告によって、ターゲットの性別や年齢、出稿エリアを細かく設定可能なため、より広告精度を高めることができます。
今も未来もSEOが重要
2000年代初頭からWeb業界で使われてきた「SEO」は使い古された言葉ながら、今も未来もWebマーケティングにとって「SEO」は重要な意味を持ちます。
管理人は長年に亘り、当ブログはもとより、他に手掛けてきた数々のWebサイトを含めてマーケティングに関わってきました。
2000年代のSEOは簡単なもので、とある方法でいとも簡単にWebサイトの上位表示が実現できたのです。
そして、2011年以降、Googleのコアアップデートはパンダ、ペンギン、ハミングバード、モバイルフレンドリー、YMYL(Your Money of Your Life)、スピード、スパムアップデート等の変遷を辿ってきました。
各アップデートの度に、Web業界を震撼させてきた歴史があります。
そして、今後もGoogleは涼しい顔でコアアップデートを続けていきます。
管理人は長くGoogleの動向に関わってきたこともあり、1つの結論が見えています。それは、
Googleはユーザービリティを重んじ、ユーザーエクスペリエンス(UX)を最重要課題としている。
【ユーザビリティ(usability)】使いやすさ
【ユーザーエクスペリエンス(UX : User eXperience)】サービスを使うことで得られる体験
要は、Googleは今も昔もコアとなる民主的な思想を持っていて、ブレないのです。
Googleの思想を理解する
SEOで大切なことは、まずはGoogleの思想を理解することです。ここで、
「それって、難しくね?」
なんていう声が聞こえてきそうですけど、確かに、SEOは1年や2年でマスターできる世界ではないのは事実。
Googleアルゴリズムは当然ながらブラックBox。ネット上に公開されているSEO情報はあくまで仮説であって、鉄板の定義ではありません。
SEO対策はPDCAの繰り返しのため、仮説と検証の繰り返しの世界。その中で、Googleの思想が見えてくるのです。
検索の意図を考える
次に、ネットユーザーの検索の意図を考えることです。
管理人も1人のGoogleユーザーとして、ほぼ毎日のようにGoogle検索しています。なぜ、人は検索するのでしょうか?私たちは情報を調べるためや疑問を解決するために日々、検索しているのです。
自分が気になる複数のキーワードで検索し、上位表示されたWebページを閲覧して疑問が解決したら、GoogleアルゴリズムとクリックしたWebページは使い勝手が良く、
「さすがGoogle!タップ or クリックしたWebページで納得!」
となるのです。
だから、多くのネットユーザーは今日も明日もGoogleを使い続けるのです。
もし、私たちが検索して、しょぼいWebページや役に立たないWebページがズラーっと上位表示されたら、それは役に立たない検索エンジンなのです。
コンテンツSEOが加速
かつて、SEO業者が電話でSEO対策の営業を仕掛けていた時代がありました。しかし、今や企業が外部業者にSEO対策を委託したところで、簡単に結果が出るような時代ではありません。
そもそも、金銭でSEO対策ができること自体、Googleの思想に反するのです。
一例として、かつて、業者による有料の被リンクサービスが横行していました。今や、このサービスはGoogleのウェブマスター向けガイドラインに対する違反となり、対策を施したWebはGoogleからペナルティを受けます。
いわゆる、これはブラックハットSEO。
Googleの思想に反するSEO対策は、度重なるGoogleコアアップデートによりBANされるようになり、より民主的な検索エンジンへと進化してきたのです。
もちろん、中にはコンテンツSEOを重んじ、ホワイトハットSEOを手掛けている業者は存在します。しかしながら、業者はWebの専門家であって、クライアントの業務内容については素人。
Web業者がコンテンツSEOに乗り出して品質の高い記事を書こうとしても、高い壁が立ちはだかっているのです。
GoogleのアルゴリズムはWebサイトの専門性や権威性を重要視するようにアップデートされてきているため、SEOの難易度が高まりつつあります。
言い換えると、Googleは、よりユーザーエクスペリエンスを重んじる傾向があります。
つまるところ、例えば工務店のWebならば、実務者である工務店の経営者や建築士、広報担当者がブログを書く方が専門性が高く、SEOの成功に近づきやすくなります。
まとめ
中小企業のWebサイトのアクセス数が少ない理由として、会社案内のパンフレット的で情報量が少ないのが大きな原因です。
企業のWebサイト内容は概ねパターン化しているため、それプラス、ブログで情報発信することでSEOの成功に一歩近づきます。
もちろん、SEOの効果が出てくるまで月日を要するため、ネット広告を活用するのもマーケティングの1つ。
以上は、WebアクセスとSEOの概念に近い内容ながら、具体的なWebサイトのアクセスアップやSEOのテクニカルな情報については、検索すれば大量にページがヒットします。
もちろん、それらの検索結果は玉石混交のため、情報の精査をおすすめします。
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