2008年の夏、ガソリン価格は原油先物価格に連動するかたちで上昇し、その後に急落しました。
2009年以降、再び原油先物価格が上昇局面にあることもあり、ガソリン価格もじわじわと上昇傾向にありました。
昔はガソリン価格が高かった
2017年3月現在、ガソリン小売価格は40年前の1977年の水準とほぼ同じ。ガソリンの小売価格に占める税金の割合は大きく、ガソリン税は1リットルあたり53.8円。
仮に、現在のレギュラーガソリンの小売価格が1Lあたり130円とすると、大雑把に内訳はこのようになると思います。
・原油価格 46円
・流通、精製コスト 24円
・税金 60円 (揮発油税及び地方揮発油税53.8円/l含む)
ガソリンに代表される燃料は、典型的な薄利多売型の製品。ガソリンスタンドはX億円の設備投資をしても、ガソリン1Lあたりの利益はわずかなもの。
10年前と今のガソリンを比べても、流通と精製コストはそれほど違いが無いでしょうし、税金は変わっていません。(消費税は変更されます。)
よって、液体燃料の店頭価格は原油価格の変動によって大きく左右されます。もちろん、為替変動の影響も受けます。
それにしても、石油は産油国からタンカーで運ばれ、それを石油精製プラントで精製し、タンクローリーで日本全国のガソリンスタンドに輸送されています。
その流通と精製コストは大変なものであるのは想像に難くありません。
ミネラルウォーターの謎
他方、コンビニで売られているミネラルウォーターの価格は、国産ミネラルウォーターならば500mlで110円前後。自動販売機でも、そのあたりの価格帯で売られています。
1L換算で220円。
ところが、コンビニの同じ陳列棚に2Lの国産ミネラルウォーターが100円前後で売られていることもあって摩訶不思議。
私たちの生活に必須であるガソリンと水の小売価格を比べると、明らかに「ペットボトルのミネラルウォーター」は割高。
日本は不思議な国で、ガソリン価格が上昇してくると真っ先にニュースで取り上げます。テレビ局のレポーターがガソリンスタンドで給油中のお客さんにインタビューしているシーンがニュースで放映されます。
インタビュー1
TV局:「ガソリン価格が上昇していますが、どう思われますか?」
お客さん:「そうねー本当、困るねえ」
ところが、ミネラルウォーターの価格は店舗やブランドによって異なるものの、ガソリンより高価なミネラルウォーターに関しては誰も気にかけていないようです。
テレビ局がミネラルウォーターの販売店で取材してみるのも興味深いかもしれません。
インタビュー2
TV局:「ガソリンより高いミネラルウォーターについてどう思いますか?」
お客さん:「はっ?」
割高なペットボトルのミネラルウォーター
国産ミネラルウォーターの場合、製造会社が取水地から水を汲み上げて、水処理工程を経てペットボトルに詰めて製品を出荷しています。
以前、管理人は富士山に近いミネラルウォーターを製造する工場を見学したことがあります。
外部とは隔離された極めてクリーンな工場で、内部に人影はまばら。あたかも半導体工場のよう。工場内の気圧は外より若干高く、外から工場内に飛散物が入らないような構造になっています。
ボトルに水を充填する過程から出荷まで、ほぼ全自動の工場。
水は地下から湧き出てくるもので、製造会社が他所から水を仕入れているわけではありません。また、石油のような大規模なプラントでの精製コストは不要ですし、かかる税金は消費税だけ。
勿論、ミネラルウォーターの製造会社は取水地に製造工場を建設しているものの、建物や生産設備は毎年、原価償却されて水の製造コストはどんどん下がっていきます。
液体は小型のボトルに詰めて梱包して運ぶよりも、巨大なタンクに入れてそのまま運んだ方が当然、流通コストが安くなります。
ペットボトル入りのミネラルウォーターが割高なのは、ペットボトルに水を充填するコストと流通コストに理由があると考えられます。
よって、ミネラルウォーターはまとめ買いすればそれだけ安くなる製品。ただ、水はただでさえ重くて嵩張ります。多くの場合、自宅内にミネラルウォーターをストックしておく場所も限られます。
デリバリータイプのミネラルウォーターサービスが普及していることもあり、これなら重量物の運搬から解放されます。12Lボトルで1,200円台ですから、リッターあたり100円少々。
コメント