メルセデス・ベンツCクラス(W202)は古き良きメルセデスの味が残っていたモデル。W202のボディサイズは全長4.5m、全幅1.72m。これは、現代の水準からするとコンパクトなサイズ。
TOYOTA30系プリウスと比べると、W202はプリウスより約2cm車幅が狭く、全長はほぼ同じ。そして、W202はプリウスより車重が40kgほど重い。
もちろん、これら2台のボディ形状とパワートレーンが違うため、両車を比較してドライブフィーリングはまったく異なります。
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抜群のボディ剛性
かねてより、メルセデスのボディ剛性の高さには定評があります。ボディ剛性感と表現した方がいいのかもしれません。
日本車の中には、オドメーターの距離が7~8万kmあたりから、ドア回りを含めた各部から軋み音が出始める車種があります。ワゴンやハッチバック、ミニバンのようなボディ形状ならば、それ以前から軋み音が出始めることもあります。
そもそも、後部に大きなバックドアを持つボディは、リア周りの剛性確保が難しくなります。
メルセデスのボディは10年、10万kmを経ても、ボディ剛性感の低下は感じらず、室内のガタピシ音もまったく出ません。これはメルセデスの伝統。
管理人はメルセデスが採用している鋼板とモノコックボディの作り方に秘密があるのではと推測しています。
W202のキャラクターに合ったエンジン
C230のエンジンルームに収められた直列4気筒DOHC 2300cc エンジンは、ホンダのように一気に吹け上がるキャラクターではありません。どちらかと言えば、もっさりとした印象を受けます。
W202の直4エンジンは実用域の中低速トルクが太く、ドライブしやすいトルク型エンジン。それでいて、スロットルペダルを床まで踏み込むと、6,200rpmのレッドゾーンまで綺麗に吹け上がり、カムに乗るフィーリングも味わえます。
W202の加速時、ややエンジン音が室内に入ってくるものの、当時の欧州車はエンジン音をドライバーに聞かせるのが仕様であったのかもしれません。
C230(W202)のゼロヨンタイムはマガジンのデータで16秒台。C230は高速道路の追い越し車線へ入る時でも、躊躇なく行ける必要十分な加速性能を持っています。
このモデルの上にC280という6気筒エンジンを積むグレードも用意されていました。W202のボディサイズからすれば、4気筒エンジンで必要十分。前後の重量バランスも4気筒モデルの方が上だと思います。
優秀な燃費
C230(W202)のパワーユニットはDOHC直列4気筒、2,300ccのNAエンジン。
このモデルの前にC220という2,200ccエンジンを搭載したモデルが存在していました。C230が販売された期間は短く、その後、V6エンジンを搭載したC240がリリースされました。
このC230の燃費は市街地走行で9km/L前後、夏季のエアコン使用で8km/L前後、高速道路で13km/Lほど。C230の排気量は2,300ccで車重が1,390kgのため、当時としては優秀な部類に入るでしょう。
完成度の高い、電子制御5速AT
W202のステアリングホイールを握り、アクセルペダルを踏み込むと、最初、そのペダルの重さに違和感を抱きます。これはすぐに慣れるものの、日本車から乗り換えると明らかにアクセルペダルが重く感じます。
ドライバーはアクセルワイヤーの油が切れているのでは?と早合点してしまうかもしれません。左ハンドル車を右ハンドル車化した弊害かもしれませんし、当時のメルセデスはアクセルペダルが重かったのです。
そして、徐々に車速が上がると、電子制御5速ATがタイトであるため、トルクコンバーターのスリップがほとんど感じられません。2,000rpmプラス、アルファ程度で滑らかにシフトアップしていきます。
ちなみに、W202で上り坂で停車する時、ブレーキペダルを強く踏む必要は無く、ブレーキペダルから足を離しても多くの場合、後ろ下がりしません。
W202で走行中、強い加速が必要な時は、日本車よりもアクセルペダルを深く踏み込む必要があります。これにより、ATミッションがキックダウンしてくれます。もちろん、これも仕様。
つまるところ、エンジントルクに余裕があるため、少々アクセルペダルを踏み込んでもATミッションは過敏にシフトダウンしないのです。
このATミッションの変速フィールは独特。
例えるならば、車体の下にクラッチワークがとても上手な人が隠れていて、常時、適切なギヤを選択しながらエコ運転に徹しているようなフィーリングを受けます。お見事としか言いようがありません。
落ち着きのある車体
W202は5ナンバーサイズに近いコンパクトなボディであるにもかかわらず、ドライバーは一回りも二回りも大きなクルマに乗っているような錯覚を受けます。
クルマは車種によって特有のリズムを持っています。メトロノームのようなリズム。
スポーツカーは「カッ、カッ、カッ」という明らかに早いリズムを持っています。軽自動車はボディが小さいこともあり、スポーツカーよりも更に早いリズムを持っています。軽自動車に乗ると疲れやすいのは、これが一つの要因。
一方、車体が大きなクルマに乗ると車重の影響もあり、車体の動きが穏やかになります。「カチッ・・・カチッ・・・カチッ」というリズム感。
ところが、W202の車重は1,390kg前後。決して軽量とは言えないものの、これより車重が重いクルマは数多いです。
確実に言えるのは、W202は決して大きなクルマではありません。それなのに、何とも言えない落ち着いたドライブフィールを持っているのがW202の特徴でもあり、これは高速道路を走行しても何ら変わりません。
少ない風切り音
近年の日本車は燃費対策のため、空力を重視してボディが設計されています。その影響なのか、Aピラーが異様なほど寝ているクルマが増加しました。
Aピラーが寝ていると、デザイン的にはスタイリッシュに見えるかもしれません。しかし、弊害も増えます。
Aピラーを寝かして設計すると、室内空間が圧迫され、ドライバーの目前にフロントガラスが立ちはだかります。Aピラーもドライバーの眼球に近づくため、死角が増加します。
Aピラーが寝ていると、交差点での右左折時、状況によってドライバーは頭を前後左右に動かさないと、歩行者や自転車、車両が確認できないことが多いのが難点。
更に、Aピラーを寝かせると、ダッシュボードの上部面積が増加し、太陽光により熱を持ちやすくなります。これにより、夏場のエアコンの立ち上がりに時間を要します。
その点、W202の時代はまだAピラーが立っているクルマが多く、近年の多くの欧州車のAピラーも極端には寝ていません。Aピラーを立てると、具体的にどの程度空力が悪化するのか知る由もありませんけど、運転するドライバーにとってはメリットが多くなります。
Aピラーが立っている方が空気抵抗増に繋がり、風切り音も増加して不思議ではありません。
しかし、W202で高速道路を走行中、風切り音がとても小さいのが特徴。どのクルマも高速走行中はAピラー周辺から風切り音が聞こえてくるもの。ところが、W202のAピラーは比較的立ってはいるものの、不思議と風切り音が室内に入ってこないのです。
絶妙なサスペンション
W202の時代は偏平率が60や65タイヤを履くクルマが多く、サスペンションもそのタイヤサイズに合わせてセットアップされていました。
W202のサスペンションの印象を一言で言うと「硬くもなく、柔らくもなく」。近年の欧州車のサスペンション水準からすれば、「やや柔らかい」と言えます。
しかしながら、W202で山岳路を走行しても、ドライバーが不安を感じるようなボディの動きはありません。
W202のステアリングを素早く切ると、初期のロールスピードが若干、早く感じます。そして、外輪のサスペンションが沈むと、その時点で車体はとても安定します。
W202は終始、しなやかに動くサスペンションが4つのタイヤを確実に路面に接地させながら安定して曲がっていくのが特徴。質の高いショックアブソーバーがその走りを支えています。
最後まで舵が効くハンドリング
W202はボールナット式、油圧ステアリングを採用。ボールナットはその構造上、ステアリングのN(センター)付近の遊びがやや大きめ。
これは、BMWとは真逆のキャラクターとも言えるもので、このセンターの適度な遊びが長距離走行時のドライバーの疲労軽減に繋がります。ボールナット式を採用したメルセデスのステアリングフィールは蜜を入れた容器にシャフトを差し込んで回すような感触。
メルセデスのハンドリングの特徴として、最後まで舵が効くところ。
カーブでボディのロールに比例して外輪のサスペンションが沈んでいく時、タイヤの接地性変化がとても少なく感じます。タイヤのグリップ感が良く、路面変化によってグリップが抜けるような挙動変化がありません。
タイヤのグリップ力はサスペンションで引き出すという、まさにお手本。
W202のタイヤサイズは「195/65R15」のため、エンベロープ特性がいいのもプラスに働いていると考えられます。
最後の最後までサスペンションが路面をしなやかに追従して、タイヤを接地させる動きはドライバーに独特のフィーリングと安心感を与えてくれます。
ヤシの繊維を使ったシート
この時代のメルセデスのシートには、ヤシの繊維が使用されていました。
このシートはコシがあって通気性が良く、長距離走行してもドライバーは疲労感がほとんどありません。正直なところ、W202のシートはW204より上。
このシートに関しては、日本車は欧州車にまだまだ及ばないところと言えます。
細めのタイヤサイズ
時代と共に自動車のタイヤがワイド&低偏平化しました。90年代まで、偏平率が60ならばスポーツタイヤに属していたものの、今となっては大人しいセダンや1.5BOXにも普通に60タイヤが装着されています。
W202のタイヤサイズは純正で「195/65R15」。これは、30系プリウスと同一サイズ。
タイヤを横から見ると、適度なハイトがあるためエアーボリュームが豊か。少々、ボテっとした印象を受けておじさん的なものの、しなやかな走りを支えています。
個人的には、車重が1,300~1,400kgでエンジントルクが20~25kgmほどのクルマならば、この「195/65R15」はベストサイズだと思います。
「195/65R15」クラスのタイヤはコンタクトパッチ(タイヤが路面に接する面)が進行方向に対して縦長のため直進性が良く、ステアリングが取られにくいメリットもあります。
また、「195/65R15」は無駄に太くないサイズのため、転がり抵抗が低減できて燃費にもプラスなのです。
タイヤの溝があっても経年劣化する
タイヤは溝さえあれば、何年でも継続使用できるパーツであると考えているドライバーが少なくないと思います。年間走行距離が5,000km程度でしたら、新品タイヤから5年経過しても溝はまだ残っているケースが多いでしょう。
道路交通法上、スリップサインが出ていなければ、そのタイヤは合法。しかし、タイヤは年数経過と共にゴム質が硬くなっていきます。4~5年経過したタイヤと新品タイヤを比べると、明らかに年数が経過しているタイヤのゴムは硬質化しています。これはタイヤ交換後、すぐ気付くことができます。
ゴムが硬質化すれば、ウエットグリップ性能は明らかに低下しています。まだ、溝があるから・・とケチらないで、早めにタイヤ交換したいものです。
タイヤ交換の前のマニュアル
欧州車は純正で欧州ブランドのタイヤが装着されていることが多く、クルマとの相性を考えて、引き続き欧州タイヤを選択すれば外しは無いでしょう。
とかくタイヤ選びは難しいもので、このようなマニュアルを参考にしてもいいでしょう。
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