鬼のボディ剛性と静粛性のメルセデス・ベンツCクラスC200 CGI-W204

メルセデス・ベンツCクラス C200(W204)はCクラス史上、最もスポーツ性を与えられたモデル。アジリティ(俊敏)というキャッチコピーを全面に出したマーケティングがメルセデスらしからぬ印象を受けたものでした。

しかし、W204はBMWのような味付けのクルマではありません。

W204はわずかにBMW的なキャラクターを持っているかもしれませんけど、従来ながらのメルセデスの味わいはきちんと残されています。それがメルセデスのアイデンティティとも言えます。

W204のアジリティはBMWとは違う

本来、メルセデスベンツはスタビリティを重視したクルマ造りに徹し、俊敏に曲がるBMWとは対照的なメーカーでした。ところが、W204は2世代前のW202と比べるとクルマのキャラクターが随分違います。

W202は鷹揚としていて重厚感があったものの、W204は俊敏に曲がるスポーツ性を身に着けたと言えます。

伝統的にメルセデスは路面の凸凹の影響をあまり受けません。外乱に強く、ドライバーの操作に対してはリニアに反応するキャラクターを持っています。

W204は伝統的なメルセデスライドに「アジリティ」性能が与えられています。

何故、メルセデスはこのようにCクラスのキャラクターを変えたのでしょうか。

おそらく、メルセデスはW203の時代から、BMWの好調なセールスが非常に気になっていたはず。事実、W203のセールスはBMW3シリーズのビハインド状態が続いていました。そこで、メルセデスはCクラスのキャラクターについて再考察したのでしょう。

その結果、誕生したのがW204。

W204はCクラス史上、最強のボディ剛性

メルセデス・ベンツC200 CGIブルーエフィシェンシーエレガンスW204

メルセデス・ベンツC200 CGIブルーエフィシェンシーエレガンスW204

W204は2011年、大がかりなマイナーチェンジを受けて更に魅力度が増しました。もちろん、アジリティ路線は変わっていません。

W204は2世代前のW202より更にボディ剛性が引き上げられました。ドライバーは走行中、ボディの存在を忘れてしまうほどの鬼剛性。

しかも、メルセデスの伝統として、5万、10万kmと走行距離を重ねてもボディ剛性の低下がほとんど感じられません。ちなみに、ボディが弱い自動車は走行中にボディからも音が出るから賑やかなのです。

W204は乗り心地と操縦安定性を両立

W204の軽くなったステアリングフィールとアクセルペダルはドライバーに対してよりフレンドリーになりました。

更に、271型DOHCターボチャージャー直列4気筒エンジンから5速(7速)ATミッション、プロペラシャフト、デフ、ドライブシャフト、ハブベアリングに至るまで、回転する部分が恐ろしいほど滑らか。各部の回転振動が少ないから音も出ません。

W204で平滑度が高い自動車専用道路を走行すると、ボディの風切り音の少なさも相まって車内の静粛性が非常に高く保たれます。わずかにタイヤからパターンノイズが聞こえてくる程度で、まるで新幹線に乗っているような気分になります。

これは、W204の空力特性が優れている証拠でもあるでしょう。

世界の自動車メーカーの中で近年、最も空力特性が優れているセダン、クーペ、ワゴンはメルセデス・ベンツのみ。BMWのボディデザインは空力的にメルセデスに及ばないのです。W204の静粛性は30系プリウスより断然上です。

高いスタビリティ

高速道路のインターチェンジを降りて山岳路に入ると、カーブでボディがわずかにロールしながら4つのタイヤが確実に路面を捉え続けます。W204はW202よりロール剛性が上がっているものの、BMWほどではありません。

タイヤの状況がリアルタイムでドライバーに伝わってきます。

一言で言うと、W204はボディの動きと走りがとても美しい。かつて、乗り心地と操縦安定性は相反するものであると考えられてきました。

ところが、乗り心地と操縦安定性を高い次元で両立しているのがW204、そして近年のメルセデスの大きな特徴と言えます。

優秀な燃費

ガソリンメーター

C200 CGI(W204)はDOHC直列4気筒、1,800cc直噴エンジン+ターボチャージャーによって過給されます。

かつてのメルセデス・ベンツの直4エンジンはもっさりと回るのが特徴でした。ところが、近年の直4エンジンはあたかもHONDAのように回転振動が少なくモーターのようなフィーリングを受けます。

予備知識無しで、「これは直列6気筒エンジン」と言われたら疑うことは無いかもしれません。

近年の欧州車の多くは直噴エンジンが主流。直噴エンジンは高価な直噴インジェクターにターボを搭載することもあり、コストがかかったエンジンと言えます。

W204、C200 CGIの燃費は

・市街地走行で10~11km/l

・郊外で13~15km/l

・高速道路を90~100km/hで巡航して16~17km/l。

メーターパネル内に表示されるリセットからの通算燃費は常時11km/l以上を示しています。これは同排気量のプリウスには到底かなわないものの、1,800ccエンジン搭載の車重1.5トンの車としては優秀な燃費を叩き出します。

特にW204は高速燃費が秀逸。そして、信号機が少ない郊外や山道で燃費が伸びる傾向があります。

ちなみに、CAR GRAPHICマガジンのデータによると、C200 CGIの「0-400m」加速性能は15.8~16.0秒。とても排気量1,800ccとは思えない加速感です。

W204のタイヤサイズ

ブリジストンTURANZA ER300

欧州車の多くはイヤーモデル制のため、毎年のようにマイナーチェンジを受けます。W204も度重なるマイナーチェンジを受けているため、デビュー時期とモデルによってタイヤサイズに違いがあります。

・205/55R16

・225/45R17

・Front 225/45R17、Rear 245/40R17

アンダー200psエンジンを搭載するセダンやワゴンならば、245/40R17は明らかにオーバーサイズ。また、AMGのような特別な車両を除き、一般のセダンやワゴンに前後異形タイヤを設定するメリットはあまり無いと思います。

前後でタイヤサイズが異なるとタイヤローテーションが不可となるため、これもデメリットの1つ。W204のキャラクターからすると、205/55R16がベストサイズでしょう。

アウトバーンとニュルブルクリンクで鍛えた自動車に誤魔化しは無い

メルセデス・ベンツは1990年代から随分と変わってきました。時代と共に洗練されてきたのは事実です。W204は歴代Cクラスの中で大きく変貌を遂げたモデル。それと同時に、Cクラスの新たな方向性を示したモデルでもあります。

メルセデスについてネット上で様々な意見が飛び交っているものの、やはり日本車はまだまだ欧州車に追いつかないのが真実。

日本の自動車メーカーがハイブリッド技術に磨きをかけている一方、欧州車はベクトルが違う方向へ1歩2歩と進み続けています。これでは、日本車は永遠に欧州車に追いつかないかもしれません。

アウトバーンの走行を前提とした自動車はスピードレンジが高い領域で最適化設計されています。それが圧倒的な質の高い走りを実現しています。

メルセデス・ベンツC200 CGIブルーエフィシェンシーエレガンスW204

もちろん、車齢が伸びてくると、欧州車の電装系の信頼性と耐久性は日本車には及びません。

現代の自動車は高度に電子制御化されています。

エンジンやトランスミッションといった大物機械そのものに異常が無くても、電装系に不具合が発生すれば不調に陥ってしまいます。

「だから欧州車は日本車に及ばない」といった意見がネット上に散見されます。

これは「機械も電装品も故障してはならない。」という前提の思想からくる考えかもしれません。

自動車に対する評価軸として、もし、故障が少ない自動車が一番優れているのであれば、日本車以外に選択肢はありません。ところが、自動車に対する評価軸は1つや2つではありません。ドライバーの数だけ評価軸があると思います。

欧州には魅力的なモデルが多い

ドライバーによっては「アルファロメオMITo」の独創的なボディデザインを高く評価し、「ルノールーテシア」のようなフランス的なセンスと美しさに惚れ、「フィアット500」のキュートなキャラクターに親しみを感じ、「フォルクスワーゲンポロやゴルフ」の質実剛健さに安心感を抱くことでしょう。

そして、「ミニ」はクラスレスな魅力があり、豊富なオプションパーツをチョイスして自分だけの車に仕上げる楽しさがあります。

また、所ジョージ氏のように、やたらと故障する古いアメ車を仕入れてレストアに喜びを感じる情熱家もいます。

ドライバーの数だけクルマに対する想いがあるのではないでしょうか。

クルマ離れが叫ばれて久しいものの、海を渡った遠い向こうでは各自動車メーカーが魅力的なクルマを次々と市場に送り出しています。欧州車は燃費だけでは測れない魅力に満ちています。

確かに、21世紀は燃費の時代。しかし、あまりにも燃費命カーに拘りすぎると、クルマの本筋から外れていってしまうような気もします。今日の欧州車はクルマの魅力とは何かを教えてくれているようです。

メルセデス・ベンツCクラス(W204)タイヤ純正サイズ

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タイヤ交換の前のマニュアル

欧州車には純正で欧州タイヤが装着されているため、クルマとの相性を鑑みて引き続き欧州タイヤを選択してもいいでしょう。とかくタイヤ選びは難しいもので、このようなマニュアルがあります。

間違えっぱなしのタイヤ選び–タイヤ交換の前に読むトク本 new_window_icon_black

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