2011年の3.11、東日本大震災以降、日本の不動産価格は激変しました。というのも、一部の海抜が低い地域、海岸、河川付近の不動産価格が暴落したのです。
これを予期していた人が日本でいったい何人いたでしょうか。世の中は本当に何か起きるか分からないと思いませんか?
海沿いの不動産価格
常識というものは、歴史的には極めて短期的なもの。経済変動や戦争、政変、予期できない天災等によって従来の常識が根底から覆されてしまいます。常識は当てになるようで当てにならないもので、極めて脆いものではないでしょうか。
資本主義経済の国では、いつの時代も不動産価格に定価が存在しているわけではありません。その時の需要と供給のバランスによって、坪単価が決まってきます。不動産価格というものは株価に近いもの。
株式市場では、高い株価を付けている株ほど、更に高値更新を繰り返すことがあります。反対にボロ株の株価はいつまで経っても低迷しています。株価は人気投票に近いものながら、不動産価格もそれに近いと言えます。
ちなみに、バブル経済の頃、東京都目黒区のとあるエリアの坪単価は500万円を超えていました。
3.11以降、福島県とその周辺にバラ撒かれてしまった放射性物質が地域一帯に大きな影を落としているだけでなく、それは不動産価格にも影響を与えています。
某地方都市の小さな島
私が知っている地方都市のとあるエリアは、海水に囲まれた小さな島で、海産物の販売店や飲食店が点々としています。海抜は数メートル程度。そのエリアの不動産は3.11以降、ぱったりと取引が途絶えてしまったという。
私たちの脳裏に「3.11」の黒い、黒い津波の映像が今も焼き付いています。
更に、南海トラフ地震が想定されていることもあり、もう一部を除いて太平洋側海岸部の不動産需要が高まることは考えにくいかもしれません。
現在、その地方都市のとあるエリアの坪単価がどの程度なのか知りません。土地に対する需要が無くなれば坪単価は確実に下落方向へ向かいます。そのエリアの地主が土地と建物を売りたくても、買い手が付かなければ販売価格を下げざるをえません。
これは業績や人気が急降下している上場会社の株と同じようなもので、買い手が付くまで株価は下落を続けていきます。
3.11によって、それらエリアの資産価値は一瞬にして暴落し、同時に土地の担保能力も暴落してしまったのです。
もし、富裕層がそのようなエリアに別荘を持っていたら、所有物件を売りたくてもなかなか売れず、資産価値を下げて叩き売りするしかないでしょう。予期できない出来事によって、保有している資産価値が消失してしまうことを3.11が証明したことになります。
2019年10月、台風19号の被害
2019年10月12日、台風19号が静岡県から甲信越、関東、東北を襲いました。台風19号は日本の本州を覆うほどの巨大な台風であったため、気象庁がメディアを通して厳重な注意を促していました。
特に台風19号は雨量が凄まじく、静岡県東部、甲信越、関東、東北地方に河川氾濫による洪水で甚大な被害をもたらしました。
東京は治水に巨額な資金が投入されてきたこともあり、被害は想定ほどは大きくはありませんでした。しかし、多摩川に面している二子玉川や田園調布、神奈川県の武蔵小杉が水害の影響を受けたのです。
この経験からも、川の近くに居を構えるのはリスクが高いことが証明されたと言えます。また、今回の台風による水害を受けたエリアの不動産価格が影響を受ける可能性を否定できません。
不動産価格の上昇は一部
現在、日本国内で不動産価格の上昇が見られるのは一部のエリア。
それ以外の不動産価格の将来を占うのは容易ではないものの、東京、名古屋、大阪の三大都市以外の不動産価格の将来がおぼろげに見えてきます。
随分前から日本の高齢化社会の問題がクローズアップされてきていますが、2011年3月以降、既に日本の総人口は減少に転じています。
どの国でも一番、家計に占める支出が多い世代は40代。家のローンや子供の教育費が嵩み、毎月怒涛の如くお金が消えていきます。つまり、40代の人口が多い国は経済がよく回ることになります。
それも踏まえて、日本の不動産価格の将来を考える必要があるでしょう。
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