日本の夏は高温多湿。冬は北陸から東北、北海道にかけて雪が降り積もります。あらゆる物にとって日本は過酷な環境。
特に、湿度はあらゆる物に対して悪さをします。
日本の住宅の平均寿命は約26年。アメリカの住宅は40~50年、イギリスは70年以上と言われます。
日本の住宅寿命が短いのは複数の理由があるようです。
アメリカやイギリスの住宅寿命が長いということは、日本より質の高い材料を使用し、コストをかけた家づくりをしているのでしょうか?
アメリカの家
管理人はアメリカ国内の一般住宅の建設現場を幾度となく眺めたことがあります。アメリカの一般住宅は決して凝った設計の家ではありません。
アメリカ合衆国では、2×4工法の住宅がポピュラー。
この工法は面の合板パネルを組み合わせることで、建物を支えて剛性を確保する建築手法。施工現場では、窓の部分をくり抜いた合板を組み合わせていくため、日本の宮大工のような特殊技術は不要です。
2×4工法の建設現場を眺めていると、大工仕事と言うよりは、組み立て工事と言った方が適切かもしれません。純和風の日本建築のような柱を建てていく工法に比べて、アメリカの2×4工法はイージーに見えます。
いずれにしても、アメリカの住宅の多くは合板を組み合わせる木造工法が多いのです。複数の3階建てアパートメントに出入りしたことがありますけど、建物は木造でした。
築100年の木造住宅 in USA
アメリカでは築100年が経過している木造住宅が珍しくありません。
アメリカのお父さんたちは確かにDIY工具を車庫に揃え、可能な限り自分たちで家や車を補修していく文化があります。
アメリカのホームセンターは日本とは少々違い、足繁く通えば家が一軒建ってしまうほどの品揃えなのが特徴。DIYが大好きな男性にとって、アメリカはたまらない環境かもしれません。
しかし、いくらDIY精神が根付いているアメリカのお父さんたちであっても、家の補修作業を全て一人でできるわけではありません。しかも、ただでさえ大らかなアメリカ人のため、小まめに家の手入れをしているわけでもありません。
日米を比較して、アメリカの住宅寿命が比較的長い理由の一つとして、工法以前の問題として湿度が大きく関係していると思います。
ついでながら、アメリカでは1950~1960年代のアメ車が数多く現存しています。湿度が高い日本では、旧車は錆だらけになって朽ちてしまいます。
アメリカ大陸の家も自動車も日本に比べて寿命が長いのは、メンテナンス以前の問題として、北米は湿度が低いのが大きな理由と考えて間違いないでしょう。
例えば何故、エジプトには2,000~3,000年も昔のミイラが現存しているのか考えれば納得できます。現地では動物のミイラも数多く見つかっています。
片や日本ではどうでしょう?
日本のミイラといえば即身仏。修行僧が土中に入り、漆を飲みながら行う最も過酷な修行の結果です。(漆は防腐剤としての役目を果たす。)
水分があらゆる物を劣化させる
片や、大気中の湿度が高い日本では、あらゆる物が朽ちていくスピードが早くなります。
日本の住宅の場合、設計や施工方法に問題があると、特に基礎に近い部分や合板の壁にカビが発生し、やがて朽ちていきます。
鉄筋コンクリート造のマンションは換気が不十分なままだと部屋に臭いが染み付きやすく、壁のクロスにカビが発生したり剥がれてくることはよくあります。
日本の住宅は湿度対策を十分考慮した設計、施工が重要であり、各部屋の換気に気を配る必要があります。
2003年、建築基準法の改正により、住宅の24時間換気システムが義務付けられました。これは、シックハウス症候群対策であるものの、同時に部屋を換気することで湿気をコントロールできます。
よく、人が住んでいない家は傷みやすいと言われます。事実、家というものは風通しが悪い状態が続くと劣化が進みやすくなります。富裕層が所有する別荘の手入れが大変なのは、これが理由です。
例外として、奈良県の法隆寺は修復を受けながらも、1,400年の歴史を持つ世界最古の木造建築。しかし、法隆寺は宮大工によるヒノキ造りの特別な建築物のため、一般の合板で作られている住宅と比べることに無理はあるでしょう。
日本の住宅構造
さて、日本の住宅構造は3種類。
・木造
・鉄骨造
・鉄筋コンクリート造(RC造)
各工法はそれぞれ長所と短所があるため、一概にどれがベストとは言えません。自分のライフスタイルや好み、予算に合った工法が自分にとって最適な工法。
次のブログで日本の気候風土に適した工法について考えてみようと思います。
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