時代と共に、日本の大衆車の内装は確実に安物になった感があります。2000年あたりから、大衆車の内装のコストダウンが目立ちます。
1990年代までは、カローラクラスでもダッシュボードやドアの内張りはソフトパッドが標準装備でした。また、一部の大衆車はドアの内張りにモケット生地を採用していました。
その後、大衆車の内装は時代と共に、カチカチのハードプラと呼ばれる硬質プラスチックを採用するようになり、行き過ぎたカチカチのインテリアは質感を大幅に下げてしまったのです。
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初代ヴィッツの内装
トヨタの初代ヴィッツの内装はカチカチの硬質ダッシュボードに、PPのドア内張りとピラーカバーが装着されていました。
初代ヴィッツのダッシュボードのデザインは独創的であったものの、内装全体の質感の低さが衝撃的でした。
管理人の姉が初代ヴィッツのインテリアを見て、「おもちゃみたい。」なんて呟いていたのを記憶しています。それは、言いえて妙な表現でした。
それ以降、端的に言うならば、今や大衆車のインテリア素材は硬質プラスチックとPP(ポリプロピレン)の世界。
しかし、特にドアの内張りがPPだと、不快に感じることが多いのです。
大衆車の内装はプラスチックとPPの世界
そもそも、自動車の内装はデザインと素材の表面処理で勝負のところがあります。昔から、インテリアの材質そのものは生産効率が高い素材で作られています。
日本車に限らず、世界中の大衆車の内装は軽量で製造コストが安い石油系素材で作られています。
軽自動車とコンパクトカークラスの内装を眺めると、硬質プラスチックのダッシュボードにドアの内張りはPP。A、B、Cピラーを隠す部品もPP。
PPと言われるポリプロピレンはゴミ箱やバケツに使われる素材。金型を除いたドア内張りの製造原価は非常に安いと思います。
大衆車は厳しい製造コスト低減の問題から、ドアとピラーの内張りはPP一色。
ハイブリッドカーのハイブリッドシステムは製造コストを押し上げて重量増となるため、インテリアに軽量化とコストダウンのしわ寄せが来ているのでしょう。
PPは傷が付きやすいのが難点ながら、軽くて雨滴に強く、自動車の内装部品としてうってつけなのでしょう。
日本の大型ミニバンクラスには、さすがにソフトパッドの内装が与えられています。それでも、それらは石油系素材なのです。
400~500万円クラスの高価格車であっても一部を除き、自動車の内装に特別な素材が使われているわけではありません。
自動車のインテリアに「木目調パネル」が貼られていても、「本木目パネル」を採用している日本車はごく一部。
本木目パネルの素材としてウォールナットが有名。これは高級素材のため、採用している自動車はごく一部。
このように大衆車のインテリアに木や竹のような自然素材が使われているわけではなく、石油系素材をベースにデザインと表面処理でチープ感が出ないように作られています。
1990年代まではソフトパッドが標準装備
S13シルビア
管理人が20代の頃、所有していた日産シルビア(PS13)は2.0L(SR20DE)、DOHC NAエンジンを搭載する軽量な車でした。
下取りを入れて、確か諸経費込で190万円台であった記憶があります。オートエアコンとアルミホイールは標準装備。SONYのCDプレーヤーシステムを装着して、その価格でした。
当時、ABSやエアバッグ等の安全装備は一部の車両にオプション設定。
当時、シルビアクラスの車でも、ダッシュボードとドアの内張りはソフトパッドが標準でした。そして、シルビアのドア内張り中央部とグローブBoxに布生地が貼られていました。
TOYOTA AE86
カローラクラスでも、ドアトリムのソフトパッドは標準でした。
1980年代に生産されたTOYOTA AE86のドアトリムも「ソフトパッド」+「布生地」が貼られていました。
トヨタAE86のインテリアは2トーンが採用され、デザインはともかく、なかなかシック。
当時、これらは至極、普通の大衆車で価格は100万円台。
それらを思い出すと、今日の日本の大衆車のインテリアはカチカチの硬質素材が目立ちます。
アームレストより上はソフトパッドがいい
軽自動車であれば、10歩譲って硬質プラスチックのダッシュボードにPPドアトリムでも問題は無いかもしれません。
走行中、乗員はシートベルトを装着し、エアバッグが標準装備である以上、事故の発生時、前席の乗員がダッシュボードに頭を打ち付けるケースは考えにくいもの。
しかし、シートベルトを脱着する時や乗員が車内で姿勢を変える時、ドアに肘をぶつけてしまうことがあります。ドアの内張りが硬いPPだと、これが結構、痛い。
また、乗員がドアの窓枠に肘をかけることがあり、内張りがPPだと硬くて不快でもあります。
車種によっては、ドア内張りの中央部分にソフト素材が貼り付けてあります。それでも上質とは言い難いもの。
そもそも、バケツと同じ素材で囲まれた室内空間に心地よいムードは漂っていません。
軽自動車は別として、コンパクトカークラス以上の内装にソフトパッドの装着が望まれます。
少なくとも、体の一部が接触するドアトリムの半分から上、パワーウインドウ・スイッチから上にソフトパッドを貼ることで、より快適な室内空間になります。
自動車メーカーにとって、コストダウンと軽量化が至上命令なのは理解できます。自動車メーカーは売上と利益至上主義で自社の株価を持ち上げ、株主達に決算内容を発表する立場にあります。
しかし、その皺寄せとして、乗員が不快を感じる室内空間を生んでしまっているのも事実なのです。
トヨタAE86のドアトリムは全面ソフトパッド
1980年代のTOYOTA AE86のインテリアを眺めると、当時は100万円台のごく普通の大衆車でも、ダッシュボードとドアの内張りはソフトパッドと布生地が標準でした。
今、20代の方が今の「TOYOTA 86」と昔の「AE86」のインテリアを比較して、どう感じるのか気になります。
TOYOTA 86の内装(2010年代)
TOYOTA AE86の内装(1980年代)
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