日米欧の各自動車メーカーが自動運転技術の開発を進めています。
日産自動車は自動運転車を2020年までに発売すると発表しています。自動運転車について、まだ漠然としたイメージしか湧かない段階ながら、今後の動向が注目されます。
ちなみに、2016年12月、Googleは自動運転車のプロジェクトを凍結すると発表しました。
ゆりかもめの自動運転
現時点で自動運転車の具体的なイメージが湧かない段階ながら、どう考えても100%完全な自動運転車の普及は当分、不可能だと考えられます。
何故なら、専用の線路を走る列車でさえ、自動運行はほとんど実現していないからです。
完全な自動運行がなされているのは「東京臨海新交通臨海線ゆりかもめ」のように一部にとどまっています。ゆりかもめは中央指令所の人によって監視されています。
ゆりかもめは完全に独立した高架の上を走行し、他の交通や人、動物の立ち入り等の影響を受けないからこそ自動運転が確立しています。
現在のところ、JRや私鉄、地下鉄、ローカル列車は全て有人運行。これは、万一の状況に直面した場合、適切に判断し操作できるのは人間だけということなのでしょう。ステアリングが無い列車でさえ、自動運転は難易度が高いのです。
自動運転の定義
日本や米国運輸省道路交通安全局が車の自動化を次のように定めています。
■レベル0
ドライバーが全ての運転操作を行う。
■レベル1(運転支援)
自動車が加速、ステアリング操作、ブレーキ操作のどれかを自動で行う。
■レベル2(部分自動運転)
自動車が加速、ステアリング操作、ブレーキ操作のうち、2つ以上の操作を自動で行う。
■レベル3(条件付自動運転)
限定的な道路環境下で自動車が加速、ステアリング操作、ブレーキ操作を行い、自動運転システムが対応できない時はドライバーが対応する。
■レベル4(高度自動運転)
高速道路等の条件下で自動車が加速、ステアリング操作、ブレーキ操作を行い、その条件が終了するまでは自動運転が続く。
■レベル5(完全自動運転)
自動運転車が無人運転できる。ドライバーは不要。
自動運転車が直面するハードル
歩行者や軽車両と共有する一般公道を走る乗り物の完全自動運転となると、ハードルが幾段も高く、数も多いことは容易に想像できます。
・自動運転車には各種センサーやカメラが装備されています。カメラは霧や雨滴、雪、汚れの影響を受け、センサー類の誤作動もあります。
・走行中、人や自転車の突発的な道路への飛び出しに対する対応。
・道路の路肩崩れや一部陥没に対する対応。
・停電時や信号機の故障時、車載コンピュータの判断。
・高速道路上の落下物を回避する判断と操作。
・高速道路でタイヤのバースト時の判断と操作。
・道路が冠水している場合の判断と操作。
・雪道では、センターラインや停止線、ガードレールは当然雪に隠れています。吹雪によって視界が悪化しても走行を強いられることもあります。
・一方通行や高速道路を逆走するクルマに対する判断と操作。
・対向車がセンターラインを割ってきた場合の判断と操作。
これらの状況に直面した時、カーナビとセンサー、カメラからの情報を処理するコンピュータは人間並みの判断力と車両コントロールが求められます。
副操縦士的な機能
自動運転車が事故を起こした場合の刑事、民事、行政責任、そして、自賠責保険と任意保険の適用問題もあります。法整備にはまだまだ時間がかかります。
自動運転車の第一段階として、安全運転と事故防止を支援する副操縦士的な機能が第一の主眼として開発されています。既に自動ブレーキシステムを搭載した車両の普及が進んでいます。
勿論、これらは補助としての機能であり、最終的な運転責任はドライバーにあります。
レベル5の普及は懐疑的
注目を集めている自動運転車ながら、管理人はマスコミが作るムードがあまりにも先行している印象を受けます。
運転免許証を持つドライバーは、いとも簡単に自動車を運転できます。
しかし、ドライバーは運転中、五感のうち視覚、聴覚、触覚、嗅覚を使い、大量のパラメーターを脳で処理しながら、認知、判断、操作を繰り返しています。
ドライバーは目や耳、手や体、鼻を同時進行で使いながら運転しています。走行中、もしドライバーが焦げクサい臭いを感じたら、エンジンの焼きつきや出火のトラブルを疑って緊急停止します。
車の運転は高度な頭脳と運動能力が必要です。
高速道路での自動運転は比較的、容易いかもしれません。しかし、道路上で何が起きるか予測できません。
前方で追突事故が発生し、乗員が車外へ放り出されてしてしまうような大事故が発生した時、自動運転車が急ブレーキを踏んで、どのようにステアリングを操作するのでしょうか。道路上に散乱するあらゆる荷物と人をどのように見分けるのでしょうか。
当面はレベル3を目指す
今後、ドライバーの運転ミスをサポートする副操縦士的な技術開発は確実に進んでいくでしょう。例えば、欧州車の一部のドアミラーには独自技術が投入されています。
車にはルームミラーとドアミラーでは後方を確認できない死角があります。斜め後方の死角に車両がいる時、ドアミラーの鏡面に三角マークが表示されてドライバーに注意を促します。
ドライバーが死角にいる車両に気付かずにウインカーを出して車線変更しようとしたところ、斜め後方の車両からホーンの音が聞こえてきた経験が一度や二度はあるはず。そのような、ニアミスを防ぐ意味でも、これは優れた技術。
しかし、完全な自動運転車となると、その普及までの道のりは随分遠く、険しいことは想像に難くありません。というか、レベル5のような完全な自動運転車の普及は当分、不可能でしょう。レベル4でさえ、緊急時を考えると相当、難易度が高いと思います。
自動車の運転はパラメーターがあまりにも多く、瞬間的な認知、判断、操作が求められます。道路上では、予期できない突発的な出来事が毎日どこかで発生しています。
当分はレベル3の段階を目指す自動車開発が続くと思いますね。
おはようございます。
日産の勤める知人いわく、高齢者の事も考え自動運転技術を考えたとの事でした。
自動運転の普及で、消える職業も多いですよね。
無人で走る電車やトラックや車、、なんが不気味は気もします。
おはようございます。
自動運転車の販売が実現すれば運転に自信がない人にとっては嬉しい事ですが手動で運転している車がある限り難しい感じがします。無人運転している電車は実在していますが暴走してけが人が出た事故があるくらいなのでレベル5の実用化は難しい感じがしますね。
コメントありがとうございます。
レベル5は自動運転車にとって非常に難易度が高いと思います。
マスコミは煽りすぎなような気がします。